予算を決めずに見積依頼

Web施策の予算枠が確定してない段階で見積を依頼されるケースがあります。これは無意味であるばかりか、クライアント・制作者双方の時間を無駄にしてしまうので避けるべきでしょう。

予算帯が見えていないと、通常、制作者は良かれと思い一所懸命企画をまとめ上げます。結果、まじめに提案を用意する制作者ほど細目が積み重なり高額な見積金額となります。それを見た依頼者は「こんなにかかるの」となるわけです。

一方、予算が決まっていると、その金額範囲で目的・課題にリーチする提案、自社が得意とする提案を過不足なくまとめられるようになります。制作者ごとの個性も表れ、金額以外の選定根拠が見つけやすくなるでしょう。

10社ほど集めてコンペ

とある大学がWebサイトの全面リニューアルを決めました。30社近くの制作会社に声をかけ、提案を募りました。これはつき合う制作者側も大変ですが、各社の提案を精査し最終的に受注者を選定するまで膨大な作業を行ったであろう大学側もさぞ大変だったことでしょう。

30社というのは論外となるものの、10社程度をコンペに呼ぼうとするクライアントは意外と少なくありません。これは、先の大学のケースのように、発注者側・選定側の作業が大変です。

10社声をかけるということはほぼ手当たり次第と考えられます。コンペへの参加選定基準が曖昧でしょうから、提案自体の良し悪しを計るものさしも発注者側でコンセンサスが取れていない可能性が高いと思われます。その結果、さまざまなレベルの制作者からさまざまな提案が出てきて目移りし、なにが良いのか、なにが自社にとって最善の提案なのか、判断がつかなくなってしまいます。

コンペには「ここの提案を聞いてみたい」と思える3社前後に参加依頼をするのが望ましいでしょう。

「まずサイトを立ち上げよう。後は走りながら考えよう」としていないか

行動派の社長さんの中には「あれこれ考えてもキリがない。まずはサイトを立ち上げて、運用しながら徐々に充実させていこう」というタイプのかたがいます。これはサイトに関しては失敗しがちです。

Webサイトは今やなにがどうなるかわからない手探りの分野ではなく、なにをどうしたらいいのか手法が明確に確立されている世界です。全体像をしっかり押さえず目につくところ・手をつけやすいところから始めてしまうと、後からやり直したくなる事項が見つかり、二度手間、三度手間となってしまいます。

しかもそのやり直しには数ヶ月〜数年の期間が必要となり、いつまで経っても効果的なWeb施策の体制が構築できない最悪の状態となってしまう危険性があります。急がば回れで充分な計画を立ててから実行に移りましょう。

印刷物のデザインとWebサイトのデザインのちがいを理解しているか

いわゆる制作会社やデザイン事務所には、印刷物が得意なところとWebサイトが得意なところがあります。もちろん両方できるところもありますが、どちらかに偏っているのが普通です。

印刷物のデザインは、究極的にはビジュアルデザインであると言えます。素敵な見た目であれば、その目的のほとんどを達成していることになります。

一方、Webサイトのデザインは、道具のデザインであると言えます。ボタンが押しやすいか、使いやすいように情報が整理されているか、何度でも飽きずに使えるか⋯⋯。Webサイトはエレベーターをデザインするようなものです。目的の階へまちがいなく移動できる、開くと閉じるが紛らわしくないあしらい。これらはWebサイトのデザインにも共通して求められる最重要な視点となっています。

見た目のおもしろさ、インパクトに気を使うあまり、使い勝手を損なってしまってはWebデザインとしては失敗と言えるでしょう。

サイトとサイト以外を区別していないか

企業活動の中で、インターネット関連、Webサイトだけ特別扱いになっていないでしょうか。Web担当者はサイト以外の会社の動きに無関心、Web担当者以外の社員はWebに関して我関せず。これでは全体の中でサイトだけ浮いた存在となってしまい、会社本来の方向性・取り組みとサイトのそれとが乖離してしまいます。

「Webサイト2割・それ以外が8割」にも通じる話となります。サイト外でこれまで培われてきた会社の文化・評価・取り柄、それらを出力する新たな場がインターネット/Webサイトなのです。決して、サイトだけ会社のカラーとは異なっているようにはしたくないものです。

そのサイトは何年使うつもりか

製品やサービスにライフサイクルがあるのと同様、Webサイトにも寿命があります。いつまでも同じサイトを使い続けられるわけではありません。

動きの速いインターネットの世界では、3年経つとかなり様相が変わっていくものです。立ち上げ当初には新たな試みであった施策も、さらにちからを入れて継続すべきか、役目を終えて次の企画に予算を譲るか、自ずと判断がつく期間であると言えるでしょう。

予算確保や体勢づくりの都合もあるので、3年がリニューアル時期にふさわしいと一概には言えません。しかし少なくとも、自社の状況に合わせてサイトのライフサイクルを意識しておく必要はあるでしょう。できれば、リニューアル当初に「今回のサイトは○年使う」と想定しておけるとベストです。

自社のファンになってもらっているか

制作者を単に「自社のWebサイトを制作してもらうひと」と捉えてはいませんか。それでは良いWebサイトはできあがりません。

自社の製品・サービスを試用してもらい、どんな良さがあるのか、どんなこだわりで取り組んでいるのか、社の使命は何だと考えているか、その使命を達成するためにはなにが必要で、そのなかでサイトはどんな役割を担うのか⋯⋯。

こういった話を制作者へ十二分に行い、社のファンになってもらわなければなりません。制作者が「このすばらしい製品・サービスをもっともっと多くの人に知ってもらいたい。使ってもらいたい」とアツくなって制作業務に取り組むようにしたいものです。

 

制作環境をチェックしたか

制作会社への発注前に、その会社を視察しているでしょうか。「百聞は一見にしかず」で、実際に見ておけばさまざまなことがわかるものです。

たとえば、デザイン重視のWebサイトを依頼しようとしているのに、制作会社のオフィスの雰囲気が「それっぽくない」といったことは、視察しないとなかなかわかりません。逆に、見ればまさしく一目瞭然です。

整理整頓が行き届いていない感じ → サイトの情報整理も雑然としてしまうかも

使っているコンピューターが必要以上に古い → 新しいことをキャッチアップしていないかも

社員が挨拶してこない → 気持ちよく仕事できる相手ではないかも

などなど、発注先を「仕入れ先」と捉えたら、自ずとシビアなチェックが行われるのではないでしょうか。

このような視察のしやすさからも、制作者は近所のほうがなにかと良いのです。

制作者は近所か

あえて遠方の会社へWebサイトの制作を依頼する必要性があるでしょうか。一般的なWebサイトを制作する場合、つまりほとんどのケースではその必要がありません。地元の制作会社への依頼をおすすめします。それも、できれば近所のほうがベターです。

Web制作者側は遠隔や間接でのコミュニケーションに慣れているので「遠方のお客様でも全く問題ありません」とアピールします。しかし、依頼する側は必ずしもそうではありません。慣れないコミュニケーションツールでのやり取りを要求されては困ってしまいます。

また、「なにかあればすぐ伺います」とフットワークの良さを強調する遠隔地の制作会社も少なくありません。しかし、福岡の依頼者が地元福岡の制作会社と札幌の制作会社、どちらとコミュニケーションが取りやすいか、考えるまでもないのではないでしょうか。いくら「気になさらずに」と言われても、なにかちょっとしたことで札幌から福岡まで何度も出張してもらうのは気が引けてしまいます。

サイト構築は制作工程が作業レベルへ進むまで、意外と何度も打ち合わせが必要となります。新たな課題が浮かび上がったときにもメールやテレビ電話ではなくフェイス・トゥ・フェイスでやり取りをしたいものです。

そういったときに、近所の会社に依頼しているメリットは無視できません。

「お客様は神さま」になっていないか

制作者側が感謝の気持ちをこめて「お客様は神さまです」と言うのは構いません。しかし、クライアントがそう思っている場合、Webサイト施策がうまくいかない傾向があります。

Webサイト構築含めITの案件は、発注者と受注者がパートナーになっているのが望ましいと言えます。クライアントが持っている課題を解決するための共同作業をする相手同士です。特に、発注者側は、努めてお客様感覚を排してパートナーである受注者に接する心構えと具体的な姿勢が求められます。

カネも払い、心くばりもして、パートナーが快適に業務へ取り組めるよう、良好な関係構築を発注者であるクライアントがあえて率先してこそ、Web施策がうまくいく最善の姿勢となります。